相続税の節税の基本中の基本だけど忘れがちな最も効果の高い節税
【相続税の節税の基本】
やはり皆さん気になるのが節税です。
「不動産に投資しましょう」
「保険に入りましょう」
様々な節税対策を聞いたことがあると思います。
もちろん効果があるものもありますし、効果の怪しいものもあります。
しかし、そういった小手先のテクニックに飛びつく前に節税の基本中の基本を忘れないでいただきたいところです。
節税の目的はなんでしょうか?
税金を減らしたいのでしょうか?
・・・そうではないですよね。
一番の目的は手取りを増やすことだと思います。
出来るだけ多くの財産を残したいということですよね。
そんなの当たり前だと怒られるかもしれませんが、意外と見落としがちな点です。
相続税額を減らしたいのであれば、課税財産を減らすことが一般的です。
そのための方法としては資産を減らすか負債を増やすかなどが考えられます。
仮に不動産投資をしたとしましょう。
その結果、課税財産を減らすことが出来て相続税が少なくなったとします。
よかった!税金が少なくなった!
果たしてそうでしょうか。
税金は少なくなりましたが、その不動産は本当に必要なものでしたか?課税財産が減っているということはそれ以上に実質の手取り額も減っている場合が多いのです。
目先の節税にとらわれてしまった結果、不要な投資をしてただ財産をドブに捨てただけということもあるのです。
もちろん中には効果のある節税対策もあります。しかしそういった節税は労力がかかる割には効果はイマイチな場合も多いのです。
一方で抜け穴的な節税対策は効果も高いです。しかしそういった抜け穴的な節税対策はすぐに規制されてしまい、流行りに乗った頃には無駄な投資に終わり後悔することもあるのです。
さて話は戻りますが、
どれだけお金を残せるか
これが節税の基本中の基本となります。
目先のテクニック的な節税対策よりも、まずは基本中の基本をしっかり押さえましょう。
【生前贈与】
さて、節税の基本はどれだけ手取りを残せるかということをご理解いただいたうえで、ではどういった節税対策がよいのでしょうか。
相続税に限らず、節税の基本は分散になります。
所得税だろうと相続税だろうと、所得に関する税率は超過累進課税という考えをとっています。
これは簡単に言えば、所得が多いほど税率も高くなるという考えです。
一般のご家庭で考えてみましょう。
ご主人一人で1,000万円稼ぐ場合とご夫婦でそれぞれ500万円ずつ合計1,000万円稼いだ場合、後者の方が税金が少なくなります。
同じ金額を稼いでいたとしても、分散しておくことでそれぞれの所得が小さくなり適用される税率が小さくなるため税金も少なくなるのです。
この分散という考えが節税の基本です。
ここで話を相続税に戻します。
相続税の場合にも当然分散という考えが当てはまります。
相続税では主に以下の2つのパターンの分散が考えられます。
- 相続人を増やす
- 亡くなる前から少しずつ相続を開始しておく。
まず相続人を増やすパターンですが、これは主に養子縁組を用います。
例えば、通常、孫はそのままだと相続人にはなりえませんが、これを養子縁組して子にしてしまうのです。こうすることで相続人を増やして相続財産を分散させ税率を下げることが出来るだけでなく、親から子、子から孫へと2段階で相続が発生することを避け一世代飛ばして一気に孫の世代まで相続することが出来るため節税効果は高くなります。
ですがこの方法は養子制度を用いるため抵抗のある方が多いのも事実です。
そこで二つ目のパターンです。被相続人が亡くなる前から相続を開始しておくことで、時系列的に分散してしまおうという考えです。
これを生前贈与といいます。
亡くなる前は相続できませんので、贈与という手段を用います。贈与とは財産を無償で相手に渡す行為です。
少しずつ少しずつ生前から贈与することで、低い税率で財産を移転することが可能です。
なぜ節税につながるのでしょうか。
それは贈与税の基礎控除にあります。贈与税は110万円の基礎控除があり、110万円までは贈与税がかかりません。しかも毎年です。
また、分散することで毎年の贈与金額それぞれは小さくなります。相続だとまとめて一本になるので高い税率になってしまいますが、分散することで本来相続税でかかるはずの税率よりも低い税率で納めることが可能になります。
毎年110万円ずつ贈与すればその分は課税されませんが、さらに言えば贈与税は200万円までは税率が10%と低いものとなっています。この200万円は基礎控除110万円適用後なため、合計すると310万円までの贈与ならば10%の税率で済むのです。
相続税は最高で55%の税率です。これがたった10%で済むのであれば8割減という非常に高い節税効果を見込むことが出来ます。金額で言えば数千万円分の節税になることもあります。
さらに、こちらも孫への贈与が効果的です。1世代飛ばすことによる節税効果ももちろんですが、2割加算や生前贈与加算を避けることが出来ます。
(2割加算や生前贈与加算についてはこちらで別途解説しています⇒こちら)
どれだけの資産があるのかによって贈与すべき金額は変わってきますが、生前贈与を活用することで確実に相続税を減額することが出来ます。
このように、どれだけ手取りを残すかに重点を置くならば基本に忠実に分散という方法で節税することが最も効果的です。
その時代ごとに裏技的な節税方法もあるにはありますが、法改正によって左右されやすく非常にリスクも伴う方法です。
まずは分散という手法で考えてみることが大切です。
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