融資希望者の資本金が1円ではダメなワケとは?

融資希望で資本金1円ではダメ

【法人か個人事業主か】

法人と個人事業主のどちらが融資を受けやすいのでしょうか。

これから創業予定の方はもちろんのこと、既に事業を営んでいるが法人化を検討している個人事業主の方にとっても気になる点ですよね。

結論からすれば、法人の方がやや有利といえなくもないが大差はなく、状況によっては個人事業主の方が融資を受けやすい場合もあります

しかしなんとなくのイメージでは法人の方が信頼性もあり融資を受けやすいのでは?と思ってしまいますよね。

 

まず大前提として、実績のない法人よりも実績のある個人事業主の方が信頼性があり融資審査も通りやすいといえます。

また、仮にどちらもこれから創業予定だとして、どれだけしっかり準備をしてきたかという点も重視されます。例えば、自己資金で500万円用意してきた個人事業主の方と、自己資金の用意はなくとりあえず法人を設立しただけの方ではやはり信頼性は異なってきてしまいますし、仮に同じ金額の融資を受けたいと思ったならば前者の個人事業主の方が融資審査では有利なわけです。

 

結局のところ、計画や準備をしっかりとしていれば法人だろうが個人事業主だろうがあまり関係はなく融資審査は通ります。融資審査の場では法人か個人事業主かということよりももっと本質的なことを見てくるのです。

 

とはいえ、法人の方が有利なのでは?という漠然とした一般的なイメージも全く検討違いではありません。

個人事業主の場合、基本的に小規模のためあまり多額の融資を必要としていません。特に金融機関に融資を申し込む場合は比較的多額の融資になる場合が多く、必然的に法人の割合が多くなります。

そのため、金融機関の担当者も法人の決算書を見ることには慣れていますが、個人事業主の確定申告書を見ることにはあまり慣れていないこともあり、法人の方がスムーズに進むという面はあるようです。

また、金融機関の融資プランには法人対象のものも多く、個人事業主だと選択肢がやや限られてしまうという面もあります。

 

事業を拡大して融資も受けていきたいと考えるならば法人の方がやや有利なのかもしれませんね。

 

【資本金は1円でも大丈夫?】

では法人の方が融資を受ける際にやや有利であるとして、法人化で気を付ける点はなんでしょうか。

法人化で悩むのは資本金の金額です。資本金が1円でも法人は設立することが出来るようになっています。

資本金とは簡単に言ってしまえば個人事業主でいう自己資金にあたるものです。

カンのいい方はお気づきかもしれませんが、資本金があまりに少ないと融資審査の場では不利に働きます。

事業を運営していくと設備や商品、運転資金など資産はどうしても必要になっていきます。ではそういった資産をどのように調達するのでしょうか。

通常は資本金として法人に入れた資金を元手にそうした資産を取得していきます。

もし資本金が1円ならば元手がゼロということになるので、資産を取得するために借金をするしかなくなってしまいます。

それがたとえ社長個人からの借入だとしても、決算書上は借金だらけに見えてしまい、融資審査の場では見栄えが悪いのです。特に自己資本比率はもう最悪です。

ただこの点はきちんと説明できれば実質的には自己資金として審査担当者ももしかしたら納得してくれるかもしれません。

しかしもっと懸念すべきことがあります。

それはちょっと赤字になっただけで債務超過に陥ってしまうことです。

資本金1円の場合、2円以上の赤字が出てしまうと簡単に債務超過になってしまいます。債務超過になると融資審査でマイナスな評価になるばかりか、そもそも対象外として申込みすらさせてもらえないこともあります。

創業初年度は赤字になる場合も多く、ちょっとしたことで債務超過になってしまってはその後の事業運営に支障をきたしてしまいます。

そのためある程度余裕をもった事業運営が出来るような金額を資本金として設定するべきです。

 

【資本金はいくらが適当?】

融資を考えるとある程度資本金として備えておくことが必要になりますが、さていくらがよいのでしょうか。

資本金が1,000万円を超えると消費税申告の対象となってしまうのでそれ以下に抑える必要はあるのですが、一般的には300万円が相場なようです。

確かに、300万円あれば創業当初としては多少余裕もあり、そう簡単には債務超過にもならなそうです。

ではとりえず300万円でよいかというと、融資のことを考えるともう一歩踏み込んで考えてもよいかもしれません。

融資審査の場では自己資金がどれくらいあるのかに注目されます。自己資金の金額に応じて、融資限度額もおおむね決定してしまうのです。

まだ実績もない創業企業であれば特に、自己資金の2倍くらいが融資の限界でしょう。

例えば300万円の自己資金の場合、融資はせいぜい600万円が限界です。

したがって1,000万円の融資を受けたいのであれば資本金は500万円はあった方がよいということになります。

どのくらいの融資が必要になるのかも考慮しつつ資本金額を決めるとその後の事業運営もスムーズになるでしょう。

 

 

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