創業したばかりでも融資を受けられる可能性がある事業性評価融資
【事業性評価融資】
以前までは、融資の審査といえば最も重要なことは財務の状況でした。つまり損益計算書や貸借対照表などの決算書を見ることで融資が可能かどうか判断することが多かったのです。
財務面が良好で強い企業体質や担保があれば融資を受けやすく、そうでなければ受けにくいという状態でした。決算書はある程度統一ルールを作ってしまえば評価がしやすいことから、以前はこういった定量的な融資審査が主流でした。
そのため、創業したばかりの企業はまだ決算書もそろっておらず融資を受けることが難しかったのです。
しかしここ数年で環境が変化してきました。
金融庁が、財務データや担保・保証の有無にとらわれず事業の内容や成長可能性などの定性的要因を評価することで融資を行うことを推奨する方針を打ち出したのです。
そのため今後は一般の金融機関においても決算書にとらわれすぎない事業性評価融資が増えていくものと思われます。
実際に金融機関における事業性評価融資も少しずつ進んでいますが、金融機関によって、もっと言えば同一金融機関内でも支店ごとにおいても事業性評価融資に対する温度差があるようです。
事業性評価融資について積極的な金融機関とまだ様子見の金融機関とがあり、結局のところ金融機関に直接聞いてみるか業界動向に詳しい税理士などの専門家に聞いてみる必要があります。
しかしそうはいっても少しずつ今後は創業融資を受けやすくなる環境になっていくのではないかと思います。
【事業性評価融資のポイント】
それでは事業性評価融資を受けるにあたってどのような点に気を付けると融資の審査が通りやすくなるのでしょうか。
これまでも創業融資を行ってきた日本政策金融公庫の場合を例に挙げて事業性評価融資のポイントをご説明します。なお金融機関においても評価するべきポイントは似通ったものと推測されます。
創業企業の場合、事業実績がないことから財務データがとれず、取引実績もないため信用を得ることもできません。
そこで重要になってくるのが経営者としての能力や経営計画です。
経営者としての能力では以下のような点に注目されます。
- 事業に必要な資格や関連する資格を持っているか
- 創業する動機
- その業界で働いたことがあるなど、その業界の経験があるか
- 事業に関連する人脈があるか
- 売上や原価などの数字の理解
こういった観点から総合的に経験や能力を問われます。
例えば前職で関係する仕事に就いていた場合、勤務時の役職や実績などを具体的に伝えます。
経営計画では以下のような点に注目されます。
- 事業内容
- 準備の度合い
- 資金計画
- 収支計画
きちんとした準備と計画が練られているかが問われます。
こちらは書類に記載することになりますので少し具体的にご説明します。
- 事業内容
創業に至った経緯、立地の選定理由などどうして事業を興すのかを具体的に書きましょう。仮に飲食店だとしたら、メニュー表を見せるなど事業のイメージがわきやすいアイテムを持っていくのもよいでしょう。
- 準備の度合い
周辺立地・環境などを交えながら、ターゲットにする顧客層を具体的に記載しましょう。仕入先が決まっている場合には取引条件をチェックしておきましょう。
- 資金計画
設備資金と運転資金にわけて記載しましょう。
設備資金は事業に必要な資産を購入するための資金です。利益にどれだけ貢献するのか、本当に必要なものなのか、中古でもよいのかなどの観点から、出来るだけ必要最低限に抑えましょう。
運転資金は事業を継続していくうえで必要な手元資金です。創業当初は赤字になることが多いため、当面の資金は必要です。仕入先が決まっていれば取引条件などから必要な資金が算定できます。こちらは必要最低限よりはゆとりをもって確保しておきましょう。
また、資金の調達先も問われます。これら資金計画のうちある程度は自己資金でまかなえるようにしましょう。資金についてあまりにも融資に頼りすぎてしまうと審査のうえではマイナスになってしまいます。目安としては1/3は自己資金が欲しいところです。
- 収支計画
創業時の収支計画は過大評価になりがちです。出来るだけ客観的な計画になるよう意識しましょう。市場調査や同業者情報、業界情報などを利用しながら無理のない計画を作成しましょう。
これらを創業計画書などの書類と面談によって評価されます。こうして挙げてみると難しく見えますが、今までの経験とこれからの計画をきちんとアピールすることが出来れば問題はありません。
とはいえ、創業企業の場合は初めて面談する方が多いでしょうから、慣れないとうまく説明が出来ないかもしれません。そういった意味でも少なくとも書類はしっかりと事前に作りこんでおきましょう。
ただし、融資審査初めての方がすべてのポイントを押さえて完璧な書類を作成することはなかなか難しいのが実情で審査が通らないことも多々あります。審査に通る確率を上げるためには専門家に依頼することをオススメしています。
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