帳簿や経理が大きく変わる!電子帳簿の改正とインボイス制度

  • 電子帳簿の改正
  • インボイス制度の導入

という二つの非常に重要な改正が行われます。

全ての事業者様に影響が大きいものですので、必ずご確認お願い致します。

特に売上高が1千万未満の小規模事業者様にとっては大きな改正になります。

 

 

【要点】

1.電子帳簿関連

・紙ではなく電子データで帳簿の保存が可能になります。

・PDFなどの電子請求書は電子データのまま保存が原則です。

 

2.インボイス制度

・請求書等の記載必須内容が変わります。

・税務署への登録申請が必要です。

・免税事業者も課税事業者に変更が必要となり、消費税申告が必要になります。

 

 

以下で詳しくご説明致します。

 

  • 電子帳簿の改正

1.電子帳簿が申請不要になりました。

⇒要件が大きく緩和され、各事業者の判断で電子帳簿に移行できます。これまでは決算・申告時に申告書類や帳簿を紙で印刷して保管することを毎回お願いしていましたが、今後は印刷せず電子データのままでの保存も可能となります(従前どおり紙での保管でも大丈夫です)。注意点としては、税務調査の際には電子帳簿である旨を事前に説明する必要があります。調査の際、紙の帳簿を閲覧するのと電子帳簿を閲覧するのとでは調査官にとっても対応方法が変わるためです。

 

2.電子請求書は電子保管が原則となりました。

⇒メールやサイトからのダウンロードなどでPDFによる電子データ請求書や領収書などを入手する機会があるかと思います。今まではこれらは紙に印刷して帳簿とともに保管していましたが、今後は電子データのまま保管することが原則となりました。紙での印刷保管は不可となります。一方、紙で受け取った請求書等は引き続き紙での保管で大丈夫です。

 

Aは2022年1月1日以降に始まる期から適用開始で、Bは2022年1月1日から適用開始となります。

つまり、基本的には来期から適用ということになります。

また、詳細については以下の国税庁パンフレットをご覧くださいませ。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

 

 

  • インボイス制度の導入

2023年10月1日からインボイス制度が開始されます。

インボイスとは正式には「適格請求書」というもので、請求書等発行に法定記載事項が追加されます。この法定事項が記載されていないと、相手方は消費税上の仕入税額控除が受けられません。つまり、消費税上では経費にならないということになり、相手方に損失が発生します。

適格請求書発行には税務署への事前登録が必要です。

また、消費税課税事業者でないと適格請求書が発行出来ないため、免税事業者の方は課税事業者になる必要がございます。

 

【適格請求書の追加記載事項】

請求書や領収書などの記載事項が変わりますので発行の際注意です。適格請求書という名称ではありますが、請求書に限らず納品書や領収書、レシートでも同様です。

具体的には以下の事項の記載が必須となります。

A登録番号

B適用税率

C適用税率ごとの消費税合計額

 

A登録番号についてですが、適格請求書発行事業者の登録が必要です。この登録は2021年10月1日から登録が開始され、2023年3月31日までが申請期限です。この登録には課税事業者であることが条件であるため、免税事業者はこれに合わせて消費税課税事業者になる必要がございます。この申請は、郵送の場合はインボイスセンターに提出し、持ち込みの場合は税務署へ提出です。ご連絡いただければ私の方で提出致します。

 

BとCについてですが、小売業など不特定多数へサービスを行う業種に関してはBとCについて緩和された簡易適格請求書もございます。また消費税の計算は合計額に税率を乗じます。商品ごとの計算ではありません。

 

以下は補足の留意事項です。

・免税事業者の中でも、一般消費者向けのサービスを行っている場合には適格請求書発行事業者(課税事業者)になる必要は必ずしもありません。相手方が仕入税額控除(経費処理)をする必要がないためです。貴社のお客様の層によって登録するかどうかのご検討が必要です。

 

・消費税簡易課税ではなく、原則課税の事業者でクレジットカードの明細書のみで経理事務を行っている場合には注意が必要です。今までは3万円未満はそれで十分でした。インボイス制度後はクレジットカード明細だけでなく適格請求書の保存が別途必要となります。なお現状でも3万円超の支払いについては個別の請求書や領収書の保存が必要ですのでご留意くださいませ(簡易課税、免税事業者は除きます)。

 

・免税事業者をやめ課税事業者になる場合には、消費税の申告が追加で必要になります。

 

・インボイス制度後も貴社が免税事業者の場合

⇒消費税分相手先が損をしてしまうため、消費税分の値下げを求められる可能性がございます。

 

・インボイス制度後も仕入先が免税事業者の場合

⇒仕入税額控除ができない分を値上げで補填するなど何らかのご検討が必要かもしれません。

 

こちらも詳細は以下をご参考くださいませ。

国税庁ホームページ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

 

国税庁パンフレット

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf